ご無沙汰しております。
それでは前回の続き、
「起業をする際には、
本業を続けるのとやめるのでは
どちらがいいと思うか?」
を始めますよ~。
それではどうぞ!
経営管理学研究社の
ジョセフ・ラフィーとジー・フェンは、
ある興味深い研究を行っている。
「起業をする際には、
本業を続けるのとやめるのでは
どちらがいいと思うか?」
という単純な質問をするのだ。
二人は1994~2008年の間、
起業をした20~50代の5000人以上の
アメリカ人を追跡調査した。
起業をした人たちが
本業を続けたかやめたかは、
— 本人が置かれている経済状況とは
関係がなかった
家庭の収入や給与の高い人が
本業をやめて起業に徹する可能性は、
高くも低くもなかったのだ。
調査をまとめると、
起業に専念することを選んだ人は、
自信に満ちたリスク・テイカーだった。
一方、本業を続けたまま起業をした人は、
リスクを何とか避けたがっており、
自信の程度も低かった。
たいていの人は、リスクテイカーのほうが
明らかに有利だと予測するだろう。
だが、研究の結果はその逆だった。
本業を続けた起業家は、やめた起業家よりも
失敗の可能性が33%低かったのだ。
リスクを嫌い、アイデアの実現可能性に
疑問をもっている人が起こした会社の方が、
存続する可能性が高い。
そして、大胆なギャンブラーが起こした
会社の方がずっともろいのである。
ワービー・パーカーの四人もそうだが、
近年「ファストカンパニー」誌で
「もっとも革新的な企業」の上位にあげられた
企業の創業者の大部分が、
起業後も本業を続けていた。
当時陸上選手だったフィル・ナイト
(ナイキ創業者)は1964年、
車のトランクにランニングシューズを
乗せて販売を始めたが、
1969年までは会計士としての仕事を
続けていた。
スティーブ・ウォズニアックらは
初代アップルコンピュータ―を
発明したのち、
1976年にスティーブ・ジョブスと共同で
アップルコンピュータ―を設立したが、
1977年までヒューレット・パッカード
でエンジニアを続けていた。
また、グーグルの創業者ラリー・ペイジと
セルゲイ・ブリンは、1996年にネット検索の
性能を劇的に向上させる方法を見出したが、
1998年までスタンフォード大学大学院での
学業を継続していた。
「グーグルはもう少しで
創業されないところだった」と
ペイジは語っている。
「博士号過程を辞めることが
不安だった」からだ。
1997年、検索エンジンの開発が学業を妨げている
ことを心配し、二人はグーグルを現金と株式で
200万ドル(約二億円)以下の価格で売却しようとした。
だが幸運なことに、
購入を検討していた先が
そのオファーを断ったのだ。
本業を続けるといいう傾向は、
優れた起業家にかぎったことではない。
才能を発揮して名を成している著名人の中にも、
代表作で収入を得るようになってからも
常勤の職や学業を続けていた人が多い。
映画「グローリー明日への行進」の監督を務めた
エバ・デュバーネイは、本業である広報の仕事を
続ける傍ら、最初の3つの作品を制作した。
映画制作に専念にするようになったのは、
四年間制作に携わって複数の賞を受賞してからだ。
ブライアン・メイは、
天体物理学博士号過程の半ば、
新しいバンドでギターを弾き始めたが、
学業を中断してそのロックバンド
「クイーン」に全身全霊を傾けたのは、
それから何年も経ってからのことだ。
そしてその直後に
「ウィ・ウィル・ロック・ユー」を
作曲している。
グラミー賞受賞者のジョン・レジェンドは、
2000年に1枚のアルバムをリリースしているが、
2002年まで経営コンサルタントの仕事を続け、
夜に音楽活動をするという生活だった。
ホラー小説の巨匠スティーブン・キングは、
第1作目を執筆後も7年の間、
教師やガソリンスタンドの店員などをしており、
日中の仕事をやめたのは「キャリー」で
小説家デビューした1年後だ。
漫画「ティルバード」の作者スコット・アダムスは、
自作の4コマ漫画が初めて新聞に掲載されてからも、
IT企業での仕事を7年間続けていた。
~途中省略~
今回は以上です。
それでは、また次回。
引用先書籍
書籍名:ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
著 者:アダム グラント
監 訳:楠木 建
出版社:三笠書房