originals 誰もが「人と違うこと」ができる時代 第3回

こんにちわ・・・

 

だいぶご無沙汰しました。

 

今回は何と100投稿記念!

といっても、
特に何も有りませんが・・・(笑)。

 

それでは行きましょう!

 

 


「オリジナルな人とは」

 

 

オリジナルな人間になるには、
極端なリスクを冒さなければならない
という認識は、

文化的にあまりにも深く根付いていて、
多くの人は疑問を持つことすらしない。

人は、ニール・アームストロングや
サリー・ライドなどの宇宙飛行士を見て、
この惑星を離れ、大胆にも宇宙への冒険に
挑む果敢さに感心する。

 

マハトマ・ガンジーやキング牧師のような
公民権運動の英雄を、

正義を追求して命の危険を冒すほどの信念を
もっているとして称賛する。

 

スティーブ・ジョブスやビル・ゲイツのような
カリスマを、大胆にも大学を中退し、

一か八かの賭けに出て、ガレージでコツコツ作業を
しながらビジョンを実現しようとした人だと崇める。

 

私たちは、創造性を発揮して世界を変えようとする
オリジナルな人たちを見て感心しつつも、

彼らは私たちと異なる才能をもった
人たちなのだろうと考えるものだ。

遺伝的にがんや肥満、
HIVになりにくい幸運な人たちがいるように、

創造性に優れた人たちは生まれながらに
リスクに対する免疫が備わっているのだと
思っている。

 

不安に強く、社会に受け入れられなくても
平気な性質なのだ、と思っている。

因習を打破し、反抗し、我が道を行き、
人とは反対のことをするように
自然と運命づけられていて、

恐怖心や拒絶や嘲笑に惑わされないのだ
と思っている。

 

「起業家」を意味する「アントンプレナー」
という言葉は、経済思想家のリチャード・
カンディロンによる造語だが、

 

原義は「リスクを負う人」だ。

 

ワービー・パーカーの飛躍が
その最たる例だろう。

あの4人組は、何とかなると信じて
思い切った行動に出る気概があったからこそ、
世界を変えることができたのだ。

つまるところ、外野フェンスを目指して
バットを振りきらないことには、
ホームランを放つことが出来ない。

 

そうではないだろうか?

 

ワービー・パーカーが営業を開始する
半年前のこと、

私が教鞭をとるウォートン校
(ペンシルバニア大学のビジネススクール)
の授業に創業者の一人が座っていた。

長身で人懐こく、落ち着いた雰囲気の
ニール・ブルーメンタルは、

非営利組織で働いた経験があり、
世界をよりよくしたいと心から望んでいた。

彼が私にワービー・パーカーを
売り込んできたとき、

私も他の多数の懐疑派と同じく
「アイデアとしておもしろいが、
メガネをオンラインで注文する
客がいるとは思えない」と断った。

顧客の存在が不明である事から、
会社を軌道に乗せるのは
とてつもない努力が必要になるだろうと
分かっていた。

そして、ニールと他の三人が営業開始に向けて
どのように時間を費やしているかを知ると、

この事業は失敗に終わるだろうという
悪い予感がした。

 

私がニールへ突き付けた
1本目のストライクは
四人とも学生だということだ。

ワービー・パーカーを本気で
成功させたいならば、

学校をやめ、生活のすべての時間を
投入して取り組むべきだ。

それに対してニールは、
「リスクを分散したいのです」
という。

 

「これがいいアイデアなのかどうか確証がないし、
成功するか全くわかりません。

だから、学校に通いながら空いた時間を使って
準備をしてきたんです。

とはいってもこの夏、
ジェフは助成金をもらって、
このビジネスに専念していましたが」

 

ジェフ以外の三人の状況を尋ねると、
「みんなインターンシップ(学生が企業に
体験入社すること)に参加しました。」
とニールは認めた。

「私はコンサルティング、
アンディはベンチャーキャピタル
(ベンチャー企業に対して資金を提供する会社)、
デイブはヘルスケア分野でした。」

 

時間がほとんどないうえに、
四人の焦点がかみ合っていないため、
ウェブサイトもまだ準備できていなかった。

四人が納得する社名をつけるだけでも
六か月かかったといううことだ。

ここで二本目のストライク。

しかし、私は、ここで
完全に見捨てはしなかった。

考えてみれば、
四人ともその学年末には卒業するため、
その後は全時間を投入して会社に
専念できるようになるだろう。

 

「いえ、そういうわけでもないんです」と、
ニールは否定した。

「分散投資しておきたくて。うまくいかなかった場合を
考えて、卒業後の就職先の内定をもらっています。

ジェフもそうです。デイブも選択肢を残しておくために、
夏の間二つのインターンシップに参加しましたし、
以前の会社にまた雇ってもらう話をしています。」

三本目のストライク。
バッターアウトだーそして
私も手を引いた。

 

私がワービー・パーカーへの投資を断ったのは、
彼ら四人があまりにも私自身に似ていたからだ。

私が大学教授の職に就いたのは、
次世代の学生を育てたいという情熱に
あふれていたからではある。

しかし胸に手を当てて考えてみると、
終身在職権が魅力的だったことも
確かだ。

二十代で起業する自信は
とうていなかった。

ワービー・パーカーの四人が選んだやり方と、
企業を成功させるために私が必要だと
考えている選択は異なっていた。

ニールたち四人は、ありったけの力を注いで
事に当たろうと腹をくくっていなかった。

だから私は四人の信念に
疑問を抱いたのだ。

 

真剣さがなく、
入れ込みようがたりないんじゃないか?

全力投球せずに無難なところを狙いすぎて、
失敗する運命にあるのでは?


だが実際は、
そういう姿勢で挑んだからこそ
成功したのだ。


私は本書で、
オリジナルティには徹底的にリスクを
冒すことが必要だという通説を覆し、

オリジナルな人たちには
私たちが思うよりもずっとふつうの
人たちなのだ、ということを
しめしていきたいと思う。

分野を問わず、
ユニークなアイデアで
世界を前進させる人たちが、

信念とやる気にあふれている
ことはまれである。

 

現状を打開しようとするような人たちは、
外見的には大胆で自信満々に見える。

だが、その表面をはがしてみると、
彼らも恐れやためらいや自己不信と
戦っているのだ。

 

自発的に行動する人であるように
思われるが、

彼らの行動は他者にうながされている
ことが多く、強制されているときすらある。

「リスク大歓迎」のように見えても、
できればリスクは避けたいというのが
本心なのだ。

 

 


 

以上となります。

次回は
「起業をする際には、
本業を続けるのとやめるのでは
どちらがいいと思うか?」
です。

 

引用先書籍

書籍名:ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
著 者:アダム グラント
監 訳:楠木 建
出版社:三笠書房