みなさん
こんにちわ
人気のあった書籍なので
おそらく何処かでタイトルを
目にした方もいるかもしれません
書籍の帯に記載された
「自由とは他者から嫌われることである。」
に衝撃を受けて購入してしまいました。
大変興味深い本でした。
一部ご紹介いたしますね。
それでは、どうぞ。
本書は、フロイト、ユングと並び
「心理学の三大巨頭」と称される、
アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、
「青年と哲人の対話篇」という物語形式を用いて
まとめた1冊です。
~一部省略~
第1章 トラウマを否定せよ
なぜ「人は変われる」なのか
青年:最初に議論を整理しておきましょう。
先生は「人は変われる」とおっしゃる。
のみならず、誰しも幸福になることができる、と。
哲人:ええ、一人の例外もなく。
青年:幸福についての議論は後回しにして、
まずは「変わること」について伺っていきましょう。
人は誰しも、変わりたいと願っているものです。
わたしだってそうですし、道行く誰に聞いても
同じ答えが返ってくるでしょう。
しかし、どうしてみんなが「変わりたい」と
思っているのでしょうか?
答えは一つ、
みんなが変われずにいるからです。
もしも簡単に変われるのなら、わざわざ
「変わりたい」などとは願いません。
哲人:では、逆に聞きましょう。
あなたはなぜ、そうも頑なに人は
変われないと主張されるのです?
青年:なぜって、つまり、こういうことですよ。
私の友人に、もう何年も自室にこもりっきりに
なっている男がいます。
彼は外に出たいと願っているし、
出来ることなら仕事を持ちたいとも思っている。
いまの自分を「変えたい」と思っているわけです。
友人として保証しますが、彼は極めて真面目で、
社会に有用な男です。
しかし、彼は部屋の外に出るのが恐ろしい。
一歩でも外に出ると動悸が始まり、
手足が震える。
1種の神経症なのでしょう。
変わりたくても、変われないのです。
哲人:あなたは彼が外に出られなくなった理由は、
何処にあると思いますか?
青年:詳しいことはわかりません。
ご両親との関係、
あるいは学校や職場でいじめを受け、
それがトラウマになっているかもしれない。
いや、もしかしたら逆に甘やかされて
育ったところがあるかもしれないな。
まあ、彼の過去や家庭の事情までは、
うかがい知ることはできません。
哲人:いずれにせよ、ご友人の「過去」に、
トラウマなり何なりの「原因」となる
出来事があった。
その結果、彼は外に出られなくなったのだ。
そうおってしゃるわけですね。
青年:もちろんですとも。
結果の前には原因がある。
なんの不思議があります。
哲人:では仮に、外に出られなくなった原因が
幼いころの家庭環境にあったとしましょう。
両親から虐待を受けて育ち、愛情を知らないまま
大人になっていった。
だから他者と交わるのが怖いし、
外に出られないのだ、と。
ありえる話ですね?
青年:大いにありえる話です。
ひどいトラウマになるでしょう。
哲人:そしてあなたは
「あらゆる結果の前には、原因がある」
とおっしゃる。
要するに、現在のわたし(結果)は、
過去の出来事(原因)によって規定されるのだ、と。
その理解でよろしいですね?
青年:もちろん。
哲人:さて、もしもあなたのおっしゃるように、
あまねく人の「現在」が、「過去」の出来事によって
規定されるのだとすれば、おかしなことになりませんか?
だってそうでしょう、両親から虐待を受けて育った人は、
すべてがご友人と同じ結果、すなわち引きこもりに
なっていないとつじつまが合わない。
過去が現在を規定する、原因が結果を支配する、とは、
そういうことでしょう。
青年:・・・・なにをおっしゃりたいのです?
哲人:過去の原因にばかり目を向け、
原因だけで物事を説明しようとすると、
話はおのずと「決定論」に行き着きます。
すなわち、われわれの現在、そして未来は、
全て過去の出来事によって決定済みであり、
動かしようのないものである、と。
違いますか?
青年:では、過去など関係ないと?
哲人:ええ、それがアドラー心理学の立場です。
青年:なるほど。
さっそく対立点が明確になってきました。
しかしですよ、先生、いまのお話だと、
私の友人はなんの理由もなしに
外に出られなくなったことに
なってしましませんか。
なにせ先生は、過去の出来事など関係ない、
とおっしゃるのですから。
申し訳ありませんが、
それは絶対にありえない話です。
彼が引きこもっている背景には、
何かしらの理由がある。
でなければ説明つかないでしょう!
哲人:ええ、確かに説明がつきません。
そこで、アドラー心理学では、
過去の「原因」ではなく、
いまの「目的」を考えます。
青年:いまの目的?
哲人:ご友人は「不安だから、外に出られない」
のではありません。
順番は逆で
「外に出たくないから、
不安という感情を作り出している」
と考えるのです。
青年:はっ?
哲人:つまり、ご友人には
「外に出ない」という目的が先にあって、
その目的を達成する手段として、
不安や恐怖といった感情を
こしらえているのです。
アドラー心理学では、これを
「目的論」と呼びます。
青年:ご冗談を!
不安や恐怖をこしらえた、ですって?
じゃあ、先生、あなたはわたしの友人が
仮病を使っているとでもいうのですか?
哲人:仮病ではありません。
ご友人がそこで感じている不安や恐怖は本物です。
場合によっては、割れるような頭痛に苦しめられたり、
猛烈な腹痛に襲われることもあるでしょう。
しかしそれらの症状もまた、
「外に出ない」という目的を達成するために
作り出されたものなのです。
青年:ありえません!
そんな議論はオカルトです!
哲人:違います。
これは「原因論」と「目的論」の違いです。
あなたのおっしゃる話は、
すべてが「原因論」に基づいています。
われわれは原因論の住人であり続けるかぎり、
一歩も前に進めません。
今回は以上となります。
次回は「トラウマは、存在しない」です。
どうぞ、お楽しみに。
著書名「嫌われる勇気 自己啓発の源流”アドラー”の教え」
著者名「岸見 一郎 古賀 史健」
出版元「ダイヤモンド社」